『さよならの朝に約束の花をかざろう』を見て8回泣いた話

 『さよならの朝に約束の花をかざろう』を観た。私は自分の母親が苦手なんだけど、母親をテーマの一部に感じる作品が大好きなので、この映画でもとても感動した。『心が叫びたがってるんだ』の成瀬順とか、『凪のあすから』の先島あかりと美海の関係性とか、好きだよね?

 泣いたポイントの感想というか、自分用にただ物語を思い出すだけの文字の羅列なのでネタバレがいっぱいです。
 

 

 

※以下、ネタバレ多分にあります

 

 まず始まって数分のマキアがレナトに乗って(乗ってたわけじゃないけど)夕陽を前にするシーンの美術の黒がめちゃくちゃ印象的で、曲もそれまでの不穏な雰囲気を解決する盛り上がりが素晴らしくて早速そこで泣いてしまった。イオルフの一族との『別れ』になったシーンだけど、話の流れとかなしに見ても感動した。
 犬が死ぬシーンでも泣いた。あそこはマキアが長老の言っていた言葉の意味を知る場面だったわけで、これからもっとたくさんの『別れ』を経験することになるだろうマキアの胸中を想うとどうしても耐えられなかった。寿命が違う種族間の付き合いってファンタジーでは割とよくあるものだと思うけど、やっぱり好きなんだよなぁそういうの。あとそこまで重くないけど、もう遊べないの?と問うエリアルにとっても初めての別れだったんだよな。まぁエリアルは大人になってからクソデカい『別れ』を知るわけですが…。
 凱旋パレードのときに、レイリアが逃げるのを拒んでマキアの手を自分のお腹に当てるとこでも泣いた。身籠ることを受け入れるしかなかったことも辛いし、それを支えに過ごしてきたことも辛かった。それでも裏切ったわけではなくて、マキアを逃がすよう杉田に言いつけるところでも感動した。
 杉田も良かった。時が経つにつれてレイリアへ感情移入していって、王様が「王子に他の女をあてがえ!」みたいなこと言ってるのを聞いて唇をかみしめたところでちょっとうるっときてしまった。いや、そこはクソムカつくシーンだったからつい舌打ち出そうになったんだった。演説してるシーンで、王も権威を保つのに大変なんだなとか一瞬でも思った自分がバカだった。
 戦争でマキアがティタの苦しそうな声を聞いたシーンでもうそれだけで泣いた。ご丁寧に最初のシーンも回想に入れてきてくれて、同じなんだなって。そこからのティタの出産シーン、曲も相まって完璧だった。守るため、生きるために死と隣り合わせで戦うエリアルと、新しい生命が生まれる瞬間のティタとそれを見守るマキア。それぞれに場面に合わせて展開していく曲が、今同時に起こっているそれぞれの切迫した空気の解像度をグッと上げて迫ってきてそこでも泣いた。
 あの、ティタが子供のころマキアのことを酷い言い方をしたことをずっと何年も悔やんで引きずっていたことがめちゃくちゃ好きで、エリアルとの子供を無事に産むことができてようやくそのことをエリアルに伝えたシーンでも泣いてしまった。子供の頃にもきれいで優しくてって思ってたのに嫉妬(嫉妬か?)して酷いこと言って、そんなことがあったのに自分が出産するときにそばでずっと支えてくれて、やっぱり素敵な人だって思って、やっと言えたんだろうな。実はここが一番泣くのをこらえられなかった場面でもある。
 レイリアがやっとメドメルと再会できたところも良かった。連れ去られてひとりきりになって支えになっていたのがメドメルだけだったのに、会うことを許されなくて、仲間が助けに来ても、支えになっていた自分の娘を思い、城に残る選択をし、ようやく会えた娘からの最初の言葉が「あなただれ?」だったのが、わかっていたけれど残酷だなと思って泣いた。それでもメドメルもレイリアのことを自分の母親と気づいて、メドメルもレイリアのことを思っていたのが素敵だったし、それでもすぐに別れてしまってまた泣いた。

 

 全体的にマキアの感情が、恋愛感情とかではなくエリアルへの愛情として徹底的に描かれ切ったのが良かった。あと、別れの場面が印象的だったな。ティタが昨日のことを謝ろうと訪ねてきたけど、もう出てしまっていたシーンとか(あ、それだけに余計心残りだったのか。謝ることができなかったから、ずっと引っかかってたんだ)。エリアルが兵士としてマキアと別れるところとか。レイリアがやっと再開することができたメドメルと別れるところとか。

 良いアニメだった。現実で色々と弱ってたのもあるのかもしれないけど、今まで観たアニメの中で一番泣いたと思う。時間を空けてもう一回観に行きたい。